いろは綜合法律事務所

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借金問題・債務整理コラム集

無人契約機

サラ金が、契約者数を伸ばし、業績を伸ばした最大の要因は、1990年代半ばに登場させた無人契約機によるところが大きいと思います。

無人契約機というのは、借金するときに、サラ金の職員と対面しなくても、機械の指示に従って、ボタンを押していけば、契約できるというあれです。
「むじんくん」や「お自動さん」、「ひとりでできた」などのネーミングが付けられ、コミカルなCMなどでも、当時話題になりました。

無人契約機が、なぜ契約数を増やす最大の要因になったかというと、人と対面しなくてよいという点です。

すなわち、借金するのには、誰しもが、少なからず、抵抗感を持っているものです。
そこで、借金することを他人にあまり知られたくないという心境が現れます。
借金することは、恥ずかしいと感じる人もいます。
ですので、サラ金の店舗に行って、職員と対面するというのは、非常に抵抗感があったのだと思います。

しかし、無人契約機は、この職員との対面という抵抗感の現れの部分を取っ払いました。
その結果、借金に抵抗感のあった層(例えば、年配の方)にも広く受け入れられたのだと思います。

まあ、無人契約機と言っても、全然、無人ではなく、機械の後ろか上かには、職員がいて、いろいろと確認作業をしており、やっていることは対面型契約と何ら変わらないのですけど。
しかし、ちょっとした発想で、サラ金は、顧客を増やすことに成功しました。

ところが、最近、任意整理でも、この無人契約機に類するような無人型の債務整理系事務所がぽつぽつと現れてきています。

すなわち、借金の相談を電話とメールだけで済ませ、一度も法律事務所へ、相談者に来所してもらわずに、任意整理をまとめあげるという法律事務所や法務事務所です。
東京のそのような事務所は、多数の顧客をそういう形で集め、ここ数年で、物凄い勢いで巨大化しました。

たしかに、債務を整理することには、借金をすること以上に抵抗感があると思います。
できることなら、人と対面せずに、借金の整理ができたら、それはそれで楽だと思います。

しかし、任意整理の場合は、任意整理案をまとめあげたらそれで終わりというものではありません。
その整理案にしたがって、3年の返済を履行して、初めて任意整理が終了するわけです。
そうすると、弁護士との対面が1回もなしで、はたしてその履行に対しての強い決心を確認できるのかという疑問があります。

また、任意整理と言っても、定型的なものでなく、それぞれの相談者・依頼者に合ったオーダーメード的要素があります。
ですから、いろいろと事情を聞かないといけないと思っています。
にもかかわらず、無面談で、そのようなオーダーメードの任意整理が可能だとは、とても思えません。

ですので、私の事務所にも、ときどき、電話やメールだけで、任意整理してほしいという相談が来るのですが、以上の信念から、無面談での任意整理はお断りしています。
任意整理の場合でも、最低1回(通常は、最初と最後で2回)は、事務所に来て頂いて、事情をくわしくお聞きするという形を取っております。

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