いろは綜合法律事務所

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借金問題・債務整理コラム集

任意整理の今後

借金の返済が苦しくなってくれば、まず、借り主の方は弁護士に依頼します。
そして、依頼された弁護士は受任通知(介入通知)というものを貸金業者(消費者金融、クレジット会社等)に送ります。
この受任通知が届くと、貸金業者は、借り主に連絡をとってはいけないことになっています。
すなわち、以後、交渉の窓口は弁護士になるわけです。
その結果、貸金業者からの借り主に対する借金の取り立ては止まります。

その上で、借り主の代理人たる弁護士は貸金業者と個別に交渉して、借り主が返せる範囲での借金の返済方法を決めます。
これを任意整理(債務整理)と言います。

この任意整理において、現在は、大体の交渉条件が決まっています。
①まず、残債務を利息制限法(15%~20%)の利息で引き直して計算します。
②受任通知発送以後の将来利息を0%にしてもらいます。
③債務残額が確定した時点で、その残債務を36ヶ月(時には60ヶ月)の分割で返済していくという形です。

この①~③の借り主にとって有利な条件が揃っていたからこそ、任意整理が、今までは可能だったと思います。
しかし、この前提条件たる①~③までがこれからも維持されるかというとかなり微妙です。

まず、①の引き直し計算は、今までグレーゾーン金利があったからこそ、可能なことだったのです。
しかし、2009年からは出資法の上限金利が原則、利息制限法に合わされるので、そもそもグレーゾーンが生じなくなります。
そうすると、2009年以降に借り入れを開始した人には、グレーゾーン金利というものが生じないことになるので、引き直し計算ということも、そもそもありえないことになります。

また、②の将来利息0%の和解も、最近では、サラ金など一部の業者は拒否し、将来利息18%をまるまる要求してくる業者も現れてきてるようです。
その理由は、推測ですが、やはり過払い金返還請求の増大によるサラ金の経営難が主たるものだと思います。

そうすると、③の長期分割返済も、サラ金の経営難からすると、いつ何時、一括弁済を要求するような和解を求めてくるように方針転換するかわかりません。

このように、これからは、任意整理の前提を支える①~③の要素が、なくなる又はなくなってくるかもしれないので、任意整理が難しくなってくるのではないかと危惧しています。
その結果、任意整理の数は減り、自己破産の数が逆に増えてくるのではないかと予想します。

しかし、自己破産にはまだまだ抵抗のある借り主も多いことからすると、破産を申し立てるのをためらい、何ら法的救済を得ずに、債務だけがどんどんふくらんでいく多重債務者が増えるのではないかと危惧しています。

その意味でも、借り主にとって、まだ条件のよい今のうちに、任意整理をしておくことが必要ではないかと考えます。

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