いろは綜合法律事務所

TEL:072-972-1682お電話によるお問い合わせ受付:平日 10:00~18:00

過払い金返還請求コラム集

続・過払いの時効はいつから?

以前、「過払い金の10年という時効はいつから数えるのか?」ということについて、取り上げたことがあると思います。

少し、おさらいしますと、考え方は大きく分けて2通りあります。
一つは過払い金が発生するごとに個別に時効が開始するという考え方(個別進行説)と、もう一つは、最終の取引が終了したときから、全体として時効が開始するという考え方(取引終了時説)が対立していました。

そして、サラ金などの貸金業者にとっては、個別進行説の方が過払い金を払わなくてよい可能性が高くなりますので、貸金業者は、たびたび個別進行説を主張してきました。
一方、過払い金を請求する側は、取引終了時説の方が時効の開始時期が遅いので、時効にかかりにくい取引終了時説を主張していました。

そして、この問題について、先日、ついに最高裁判所第1小法廷で判決がでました。

最高裁は、過払い金請求者にとって有利な取引終了時説をとることを明言しました。

しごく、まっとうな判決だと思います。

今回、判決を出したのは、第1小法廷ですが、第2小法廷、第3小法廷も、3月に同じ過払い金の時効の問題について、判決を出すことが予定されていますので、第1小法廷と同じ結論が出されることを期待しています。
3つの小法廷が同一の判決を出せば、大法廷判決に近い強力な効果が認められると思いますので(最高裁判所は、5人の裁判官で構成される3つの小法廷で成り立っており、よっぽど重大な問題以外は、15人の裁判官全員で構成する大法廷ではなく、小法廷で審理されます)。

また、今回の判決は、基本契約が続いている限り、時効は開始しないとしていることからすると、完済した場合にも、基本契約が解約されていないければ、完済から10年が経過した場合にも、時効にかからないのかもしれません。
そうすると、完済と解約は明確に別概念と考える必要があるのかもしれません。ここらは、もう少し、議論が煮詰まるのを待つ必要があるのかもしれませんが・・・
いずれにしろ、今回の最高裁判決にしたがって、サラ金等の貸金業者は、ムダな時効消滅の主張をせず、任意で過払い金を早期に返還してくれるようになることを期待します。

<< 前のページに戻る