いろは綜合法律事務所

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過払い金返還請求コラム集

過払い請求の時効の起算点

数年前に、特定調停された方の過払い請求事件。

特定調停したことで借金はゼロになりますが、過払い返還までは、簡易裁判所は、面倒を見てくれないので、過払い請求するためには、別途、弁護士に依頼する必要があります。

そして、受任の上、計算し直してみると、約120万円ぐらいの過払いになっています。

ということで、請求書をT社に送ると、3週間後ぐらいにT社から電話がかかってきました。

T社 「請求書頂いている過払い返還の件ですが・・・」

私  「はい」

T社 「当社としましては、56万円で和解をお願いします。」

私  「え、かなり低いですね。何か争点ありましたっけ?」←何も、争点なかったよなぁ?

T社 「はい、平成10年以前発生の過払い金は時効を援用します。」

私  「え、取引は、ずっと平成15年まで続いていますよ」

T社 「はい、ですので、平成10年から平成15年までの過払い金はお返しします」

私  「時効の個別進行説を主張するということですか?」

T社 「はい、そういうことです」←今さら、まだ、個別進行説を主張するの?

私  「とてもじゃないですけど、話になりませんので、訴訟提起します」

T社 「そうですか、少し、上積みしても無理ですか?」

私  「そもそも、根本の考え方が違うので無理です。」

過払いにおける時効の起算点(出発点のことです)の考え方は、大きく分けて2つの考え方があります。
すなわち、最後の取引が終わったときから全ての時効が進行すると考える説(取引終了時説)と、各個別の取引ごとに、それぞれ時効が進行するという説(個別進行説)です。
そして、前者の取引終了時説が圧倒的通説です。
裁判例も、取引終了時説でたくさん出ています(ただし、最高裁判例はなし)。

特に、中断もない事案で、まだ、個別進行説を主張してくるとは思いませんでした。
こんな提示条件で、和解することは、後々のことも考えても、到底、できません。

ということで、この案件は、訴訟提起することになりました。

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